当社の研究員が執筆した学術研究論文が、国際論文誌Entropyの量子計算関連の特集号に採択されました。当論文は、東京工業大学および東芝デジタルソリューションズ株式会社との共著論文で、タンパク質と化合物のドッキング問題をアニーリング方式の量子コンピュータで解くための定式化の方法を新たに提案したものです。薬剤候補化合物は、その柔軟性に基づき様々な立体配座を持ちますが、その自由度を考慮して定式化した点が最大の特徴です。実際の創薬標的タンパク質と化合物の事例を通じて動作検証も行いました。将来、計算を大規模化できれば、創薬における新たなドッキング手法となる可能性を有しています。
本研究において、当社は定式化された目的関数(ハミルトニアン関数)を量子コンピュータ上で表現するために必要となる変換プログラムの開発と、各項間の重み係数の調整等を担当しました。量子計算環境としては、東芝デジタルソリューションズ社製の量子インスパイアード最適化ソリューション SQBM+を使用しました。
本論文は、当社を含む上記各機関が2023年度に採択された国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「量子・古典ハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業」(採択テーマ名:量子・AIハイブリッドによる創薬向け大規模Virtual Screening法の開発)の成果の一部です。
題目: QUBO Problem Formulation of Fragment-Based Protein–Ligand Flexible Docking
(フラグメントに基づくタンパク質-リガンド間フレキシブルドッキングの二次制約なし二値最適化問題への定式化)
著者 : Keisuke Yanagisawa¹, Takuya Fujie², Kazuki Takabatake³, Yutaka Akiyama²
(1: 東京工業大学, 2: アヘッド・バイオコンピューティング株式会社, 3: 東芝デジタルソリューションズ株式会社)
掲載誌 : Entropy
巻号:26(5), 397
DOI : 10.3390/e26050397
「量子・AIハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業」に係る実施体制の決定について | NEDO
https://www.nedo.go.jp/koubo/CD3_100324.html
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